井上勇樹の想像記

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こんにちはー。 ぼくの名前は井上勇樹。 想像をするのが日課の、ごく普通の男の子だ。(妄想になっちゃうときもあるけどね) で、今ぼくは、廊下にたたされて授業が終わるのを待っている。 まあ、廊下に立ってるなんて日常茶飯事だから、なれたもんだけどね。 ただし怒られた訳は聞かないでね! さてここで、素人ならばどうやって授業が終わるまでの時間をつぶすかというくだらないことに頭を悩ますだろう。 しかし、ぼくのようなプロはちがう! こういう時には想像(妄想)をするのが常識であることを、しっかりと理解しているのだ! というわけで、妄想開始! 舞台は、遊園地。 まず初めにメリーゴーランドから……。 でも、つまらなかったので曲が終わる前に降りる。(注・実際のメリーゴーランドは曲が終わるまで降りることはできません) ではつづいて、ジェットコースター! まずはゆっくり上昇。 あれ?全然速くないじゃないか。 びくびくしていたぼくはほっとしてティーカップのココアをすする。 (注・実際のジェットコースターは飲食禁止です。) しかし、その数秒後……。 ジェットコースターが、いきなり急降下! 「っぎゃああぁあーーーーー!」 ぼくの、耳をつんざくような悲鳴。ジェットコースターは速度をおとさず急回転(急カーブ)、急上昇、急降下、急停止、さらには360度一回転&720度一回転&1440度一回転(注・は?)……。 ようやくジェットコースターが止まった時には、ぼくは気絶してしまっていた。 しばらくして意識を取り戻したぼくは、ふらふらした足取りで観覧車へ。 ああ、景色がきれいだ……。 ぼくはだんだん癒されていった。 しかしてっぺんまできたとき、ぼくのゴンドラはいきなり真下に落下! 地面にぶつかる寸前でとまり、ゆっくり上へ。 そして……。 ゴンドラは落下したときと同じレベルのスピードで急回転(急カーブ)、急上昇、急降下、急停止、そして360度一回転。 (注・実際の観覧車はただゆっくり回るだけなので、こんなことにはなりません。) 「っっぎゃあぁぁあーーーーっ!」 ボカドカボカーン! すさまじい衝撃で現実世界にひきもどされたぼくが顔を上げると、鬼の顔をした先生が拳をにぎりしめて立っていた。 「……」 ぼくの、震える心。 「……」 先生の、怒りの殺気。 数秒の沈黙のあと、先生が雷をおとした。 その夜……。 ぼくは、エンマ大王の服を着た先生が追いかけてくる夢にうなされた。
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