第1章 終わりで始まり

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死んで[無]となるか、リピートの道を選択して下さい。」「リピート?」僕は何を言っているのか、理解出来ないでいた。すると、「リピートとは、無くなる60秒前に、時間を遡って、また元の世界に戻る事です。但し元の世界と言っても、以前の世界とは少し違い、平行世界です。生活は、変わりませんが、世界のバージョンが違うと言う事です。」 「では、今まで居た世界の僕は、どうなったの?」 その質問には、答えてくれた。 「はい、先程までのバージョン世界では、貴方は亡くなっており、家族達により、葬式を既に執り行っております。」 「で、60秒前に、戻れば事故を回避する事が、出来るという事?」「はい回避する事も、勿論可能です。戻られますか?」頭ではまだ理解出来ないでいるが、無になるというのも、寂し過ぎる。 「はい、戻れるなら、戻りたい!でも、戻った自分が気づかず、同じ事を繰り返さないかな?」 「大丈夫です。私が、気づく様に細工を、しておきます。では、リピート致します。」 駅前の信号が点滅している。 「急いで渡ってしまおう。」僕は強くペダルを踏んで、加速しようとした。その時、ガチャガチャ! 強く踏んだ勢いで、チェーンが、外れてロックしてしまった。 信号の手前で、自転車は、急ブレーキが掛かってしまい、左側に倒れた。その瞬間右から、大型トラックが、交差点を、抜けていったが、僕はそれどころじゃなかった。 「運が悪いなぁ、こんな所で、外れるなんて。」 僕は、大型トラックに、事故られた事も、助かった事さえも、全く気づいていない。 擦ってしまった、スーツのズボンを、気にしながら、チェーンを、直していた。 さぁ 今日から違う、バージョンの始まりだ。
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