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「あなたは誰を待っているんですか?」
「ああ僕?僕もおにーさんと一緒ですよ。これです」
男に突き立てた小指を見せた。
「ああ。同じ状況でしたか」
「そうですね。まぁ、タキシードはまだ俺たちにはまだ早いですけど・・・」
「相手はどんな方です?」
「世界中飛び回ってるような勝手な奴ですよ。まさにあんな感じの」
俺はターミナルのスタッフ専用の出入り口から出てきてこっちに手を振る女性を指さした。
「なるほど!キャビンアテンダントさんでしたか!おみそれしました」
「いえいえ、ただの腐れ縁ですよ・・・。さて、そろそろ行きますよ。話しかけてすみませんでした。上手くいくことを祈ってます!」
「ええ。頑張ります!あなたもずっと彼女さんを大事にしてあげてくださいね」
タキシード姿でそんなこと言わるとすげぇ説得力だな。俺はただただ苦笑いを浮かべるだけで彼女の下に駆け寄った。
「ごめんねぇ~。遅れちゃった!」
「よく言うよ。全然反省してないくせに・・・」
「まぁね~。さっき話してたのは知り合い?」
反省してないのかよ・・・。俺はため息を吐きながら答えた。
「初対面だよ。珍しかったから声かけただけ」
「ふーん、そう。後学に教えといてあげるけど、ターミナルプロポーズって結構あるよ」
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