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有子の髪は歪みのない綺麗な金色のロングヘアーで、その眼は快晴の空のような青色。物語のお姫様を思わせる彼女だが、年齢は優子と同じ十九歳だ。その格好はフリルがあしらわれた白いワンピースというもので、似合っているから文句はないけど、もう少し現実的な服装をしてもいいのではないかと優子は思う。
「暇だけど」
なんとか体を起こして返答すると隣に有子がしれっと座ってくる。フローラルな香りがしてドキッとした。
「そうだろうと思った。そんな優子にぴったりのバイトを貰ってきたから、おはなし聞いてちょうだい」
にこやかに、優子に死刑宣告をする有子。優子はこの通り、平日の昼間から家にいる無職なのである。その優子のために有子は時たま、こうして仕事を持ってくる。ちなみに有子も職には就いていないが医師を目指して勉強中なので、ニートには分類されない。らしい。
「どうせまた鉄也さんから押し付けられたやつだろ? まあ、やらせてもらいますけど」
優子は有子には逆らえないため、嫌な風にしていても何でも言うことを聞く。ほぼ下僕扱いだが、飯を食わせてもらっているので構わなかった。
「そうよ、神秘部の捜査に協力するの。手柄を立てたらお小遣いが増えるわ」
神秘部というのはS県警察の部署の一つで、魔法に関係する事件を捜査する組織である。優子と有子の兄貴分である降神鉄也が所属しており、彼は神秘部捜査一課の鬼刑事と呼ばれるヤベーやつだ。
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