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「新しく卓球部の副顧問をすることになった幸村です。一年間よろしく」
終始表情を一つも変えない幸村先生は、機械のように自己紹介をした。
正直、怖い。というか絶対に怒らせちゃいけないタイプの人。
教師って愛想がいいものじゃないの?生徒とのコミュニケーションは必須なのでは…
目も合わないし…いや、誰のことも見てない。
一体全体どんな理由で教師になろうと思ったんだ、この人は。
それに言葉に温度がない。棘があるわけではないけれど、ドキッとさせられた。もちろん悪い方の意味で。
蔑まれてるわけでも説教されているわけでもないのに、なぜか私は肩に力が入ってしまっている。
臨戦態勢?…いやいや。
でも、顧問だといえどそんなにお世話になることはない、と思いたい。
最後の大会まで半年もない。待ちに待った部活引退まであと少し、今まで通り静かに過ごせば、約二年間の努力が報われる。
幸村先生が...というか顧問が増えようとそうでなかろうと、大して何も変わらない。
今まで誰も変えてくれなかった。だから、今回も同じ。
そう思っていた。
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