April

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「新しく卓球部の副顧問をすることになった幸村(ゆきむら)です。一年間よろしく」 終始表情を一つも変えない幸村先生は、機械のように自己紹介をした。 正直、怖い。というか絶対に怒らせちゃいけないタイプの人。 教師って愛想がいいものじゃないの?生徒とのコミュニケーションは必須なのでは… 目も合わないし…いや、誰のことも見てない。 一体全体どんな理由で教師になろうと思ったんだ、この人は。 それに言葉に温度がない。棘があるわけではないけれど、ドキッとさせられた。もちろん悪い方の意味で。 蔑まれてるわけでも説教されているわけでもないのに、なぜか私は肩に力が入ってしまっている。 臨戦態勢?…いやいや。 でも、顧問だといえどそんなにお世話になることはない、と思いたい。 最後の大会まで半年もない。待ちに待った部活引退まであと少し、今まで通り静かに過ごせば、約二年間の努力が報われる。 幸村先生が...というか顧問が増えようとそうでなかろうと、大して何も変わらない。 今まで誰も変えてくれなかった。だから、今回も同じ。 そう思っていた。 ・ ・ ・
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