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 班長同士がどのグループに僕を入れるか、話し合っているらしかった。  しばらくその話し合いは続いていたが、僕を引き取ってくれる先が決まったようだった。  その直前、ジャンケンポンという声が、かすかに聞こえた気がした。  経緯はどうあれ、決まってしまえばそれでよかったのだが、ほっとしたのも束の間、班員のひとりの口から、 「中島が同じ班になるんだったら、私は行かないから」  という言葉が漏れ出したのだ。  結局話し合いは平行線のままで、班決めはくじ引きになった。  旅行中はもちろんのこと、旅行までの期間も、帰って来てからも、針のむしろのような日々が続いた。  小学校の修学旅行の思い出と言えば――いや、極端に言ってしまえば、小学校6年生の思い出と言えば、このことぐらいしか思い浮かばない。  卒業アルバムに写っている僕の顏は、笑っている写真が1枚もなかった。  アルバム代がほとんど無駄になった。  中1の最初の遠足のとき、バスの席順がなかなか決まらなかったのは僕のせいだったらしく、結局、学級委員が補助席に座る役目を引き受けたようだった。  僕の席は運転席のすぐ後ろだった。     
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