不思議な少年

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「ただいま」 玄関を開けて家に入ると冷房のきいた冷たい風が奥から流れてきた 少し汗ばんだ身体が一気に冷える 「あらおかえりなさい」 居間のソファで頬杖をついた母さんは私を見る事もしない 「ねぇ、冷房効きすぎじゃないの?」 「そんな事ないわよ」 そう言うが、温度は14℃の設定 明らかに冷やしすぎだ 私は設定温度を上げようとした時 「ねぇ愛実、母さんどうしたら良いと思う?」 と、唐突に話しかけられる 「・・・」 始まった いつもの愚痴 「父さん、やっぱり浮気しているみたいなのよ」 そう言うと、私の帰宅には顔も見ようとしなかった母さんが私の方に体勢をかえた 「母さんはずっと我慢しているのに、酷いと思うでしょ?」 「・・・」 直ぐに自室に逃げたかったが、そんな事をしたらヒステリックになって手がつけられなくなる 以前私が父さんを庇うような内容で説得しようとしたら、もう泣きわめいて大変だった あの面倒は御免だ 「そう、ね」 そう言って同意する振りをして聞き流す それも、いつの間にか慣れてしまっている自分に気付く 「やっぱり愛実は母さんの味方なのね」 声に弾みがみられる 「そうよね、悪いのは父さんだものね」 「・・・」
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