不思議な少年

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部屋に入ると、一つ大きく息をする さすがに外も暗くなり、当然部屋も暗いけど灯りをつけることなく鞄をベットに放り投げ、机の椅子に座る 落ち着くと自然に窓の外に目線が向く 向かいの家を始め、折り重なる程の家々の窓の灯り 間隔の狭い外灯 その奥には数々の商業施設の灯り 人工灯が強すぎてその姿は見えないけど、あの空には星があるはず 椅子から立ち上がって窓を開け、隠されてしまった本当の空に心が向かう 「・・・今の季節、月があの位置なら」 何度もプラネタリウムで見た夏の星座を思い浮かべる それが落ち込みが激しい時、いつもやっている私が一番穏やかな気持ちになれる儀式 けど、 「あれ?」 今夜は、どうしてなのか上手く思い浮かべる事が出来ない 「どうして?」 眼を閉じて、プラネタリウムの丸い天井を頭に再生する と、 ┈この真夏に熱いミルクティーか?┈ そんな声が再生された 「えっ?」 それは、今日会ったあの少年の言葉 あの妙に甘ったるい声がそのまま耳元に聞こえた気がした 勿論、実際に声として聞こえたわけではない 記憶の再生 それも、いつもの架空の会話でもない あれは、自分が望む方向に想像しているのにこれは違う ┈また会ったらヨロシクな┈ ヨロシク、なんて言われるのに慣れていない まぁ、あの人懐こそうな彼からしてみたら日常会話なんだろう 別に私に対して特別に言ったわけではない 「虚しいだけ、よね」
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