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シンデレラ
「『物語への入り方』って知ってる?」
「知ってるよ。夢の中から入るんだ。入りたい物語の本を、枕の下に敷いて眠ればいい。」
「それだけじゃダメよ。ちゃんと出発の合図を言わなきゃ。」
「『オイデクダサイ』。」
「皆で同じ本を下に敷いて眠れば、一緒に行けるんだって。」
「同じ物語の中に入れるの?」
「そうだよ。同じ日に、同じ時刻に合図を言えばね。少しでも時間がずれると、別々の物語の中へ入っちゃうんだよ。内容が同じ物語なのに。」
「物語からの出方って知ってる?」
「知ってるよ。」
「知らない。」
「知らないの?出れなくなっちゃうよ。」
「合い言葉を言うんだよ。」
「鏡の前に立って『オカエリクダサイ』って言うんだ。」
「鏡が無かったら?」
「自分が映る物なら何でもいいんだ。」
「自分の顔を見て言わなきゃダメなのよ。」
「探さないといけない。」
「必ずどこかに有るよ。」
「物語の中に居る時、言っちゃいけない言葉って知ってる?」
「禁句でしょ?」
「そう、『禁句』。」
「言ったら一生出られなくなっちゃうんだって。」
「怪我とかしない?」
「するに決まってるじゃん。物語の中なんだから。」
「物語を選ぶ時は、気を付けなくちゃね。」
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