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第4話 ノイルの意思(接触まで、あと30日)
【この地上の全種族に伝達する……】
ヘディライ人の能力である脳波伝達を使って、この地上の全種族へ一斉に同じメッセージが伝えられた。
こんな伝達の使われ方は、初めてのこと。それだけでも、驚くべきことだが、ボクが更に驚いたのは、この種族を越えた一斉伝達が、ノイルの意思だということだった。
脳波伝達は、個々人の脳に直接響く。
【高度な知能を持った生物が、この星に接近している。接触の可能性が極めて高い】
その伝達に、ボクの気持ちは高鳴る。その生物との接触よりも、ノイルの可能性の様なものを感じたからだ。
そんなボクの感情を読み取ったのか、ミスランが言う。
「ノイルの変化……。ヘディライの中には、迷っている人もいる……。感じているんだ……」
「どういうことだい、ミスラン? 何を感じるの?」
「奴ら……。その生物との接触は……、危険をもたらす……かもしれない……」
「その生物は、危険な生物なの?」
「その生物の持つ意思……、絶望的な閉塞感……」
「閉塞感?」
「何か、共通の意思……。逃れることのできない、強力なツナガリに束縛された感情……。そんな感情に抑圧された生物……。そして、そのツナガリが……、恐ろしい力に……」
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