第3話 奇妙な行動の始まり(接触まで、あと50日)

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第3話 奇妙な行動の始まり(接触まで、あと50日)

 ヒャダルゴとそのナカマたちの行動は、日に日に奇妙さを増していく。共通の挨拶のような行動から始まり、いくつかの規則のようなものを作り出した。そして、それを共有し、お互いで守っているようだった。  今ではその行動がエスカレートし、みんなが集まるビオトープの一つを、ヒャダルゴのナカマが占拠するようになった。そして、誰もそこに寄せ付けないような行動まで取り始めた。  誰もが好きなように行動していたボクたちの空間が、ヒャダルゴたちの行動によって制限されるようになったのだ。  代わりにその制限は、ヒャダルゴのナカマになることで無くなる。けれども、ヒャダルゴのナカマになることは、新たな制限の中に入ることでもある。  どうして、そんなことを求め、そのような行動をしているのか。 「なんなんだ、ヒャダルゴの奴……」  カイエルが、発した言葉には、ヒャダルゴに対する、受け入れがたい感情が混ざっていた。それを最も強く感じたであろう、ミスランが呟く。 「カイエル……。その気持ち……、よくない気持ち……」  ミスランの瞳が大きく揺れ、カイエルとボクを交互に見る。 「オレから見りゃぁ、オマエたちも同じに見えるぜ」  頭上からの声に、上を向くと、木の枝にぶら下がったディバイが居た。 「なんだと?」  カイエルが、強い口調でディバイに言う。同時に、周りの空気が少し上昇した。 「カイエル……、気持ちが、乱れているよ……」  カイエルの意思を感じ取ったミスランが、カイエルの大きな背中に触れる。 「熱くなんなよ! オレはいいと思うぜ。何かに属するってぇ、感覚がなぁ。ヘヘッ! 」  ディバイは、ボクたちを冷やかすように言うと、睨みつけるカイエルを尻目に、ヒャダルゴの占拠するビオトープの奥へ去っていった。 「奴らだ……。奴らが近付くにつれて……、ノイルの人々に……」  そう言って、目を瞑るミスラン。  また奴らか、なんなんだろう? それが何故、ノイルに?……。  そう言えば……、ここ最近、各地で何かの集まりのような、不思議な行動が起こっていると聞く。その中心となっているのは、何処でもノイル人だ。そして、その中心となっているノイル人たちは、口々にこう言っている。  ナカマ、ツナガリ……。  ボクの感情は、揺り動かされる。ナカマとは、ツナガリとは……。それは、一人では何もできないノイルが、他の種族を巻き込んで、その中心になろうとしているかのような行動に思えた……。
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