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第5話 狂いだす何か(接触まで、あと10日)
ヒャダルゴと数人のノイルを中心としたナカマたちの動きは更に拡大していく。ビラディーク人の殆どがそのナカマに加わり、常にノイルに従うような行動を取るようになった。
嫌悪感を示していた他の種族も、次第にその動きに巻き込まれていく。
ボクやミスラン、カイエルは、まだヒャダルゴのナカマには加わっていない。加わらなくても特に問題はなかったのだが、流れは徐々に変わっていく。
ヒャダルゴたちが、そのナカマ以外に対して、目に余る行動を取り出したのだ。身近な標的となったのはミスラン。ヒャダルゴのナカマと思われる何人かが、ミスランに対して罵声を浴びせたり、時には乱暴な行動を取るようになった。
ミスランの鋭い感性が、その行動を引き寄せているのかもしれない。ボクは、そんなミスランを守るように、彼らに反対するような行動を取る。カイエルも、彼らの行動を見かねてか、ボクたちを助けてくれる。
シャララもヒャダルゴの仲間に入らない一人だ。
「トゥルーン。なんで、そんなにミスランの事を気にかけてるの?」
シャララに思いがけないことを言われて、ボクは驚く。
「え? だって……、このままじゃ、ミスランが……」
「それは、ミスランのことでしょう? アンタのことじゃ、ないじゃない」
「そうだけど……、でも……」
「アンタさぁ、ミスランが居ないと、どうなるの?」
その言葉は、ボクに突き刺さった……。
ミスランが居ないとどうなる?
ミスランが居なければ……、ボクは存在価値がない?……。
誰かが居なければ……。
誰かの役に立たなければ……。
なに、それ……?
*
それから、数日後。事件は起きた。
「ディバイ! やめろよ!! 何やってんだ!?」
突然の出来事に、体の大きなカイエルが割って入る。
みんなが集まり騒然とする中、ディバイが、同族であるビラディーク人の一人を傷つけた。
「ルールだからよぅ! ルールは、守らなきゃなんねぇ!!」
ディバイの言葉に、カイエルが睨みつける。傷つけられたビラディーク人は、意識を失って倒れている。それを指示したのは、ヒャダルゴ。
そんなことで、誰かを傷つけていいわけがない……。一体何なんなんだ……。
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