並ぶ角には福来る

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並ぶ角には福来る

数年前の大学3年のある水曜日のことである。  俺は、週に1度の贅沢を満喫するため、初冬の冷たい風にさらされながらお行儀よく1列に並んでいた。  俺の前には5人、順調に行けば後20分もすれば暖かく香ばしい香りが充満している店内に入れるはずである。  俺は店内に入れる時を今か今かと待っていた。  因みに、この俺が並んでいるところは、先々月にオープンしたこのステーキ店である。  このお店、小さなビルながら駅から徒歩5~6分ほどの角地の1階と言う好立地条件に加え、質量共にそこそこ評価が出来、通常日でもかなりの人気なのだが、”特々ステーキセット”1,200円をなんと!半額で提供してくれる毎週水曜日には、空き時間がなく常に列を作って待つ状態が続くのである。    食べ盛りであり且つ、貧しい学生生活を送っている俺には、この上ない待望のお店なのである。しかし、良いことばかりではない。若干、問題もある。  店舗が小さすぎて、フルに相席をしても一度に10人がやっとなのである。  その為、開店の11時30分の1時間近く前からは列が出来始めるのだ。     
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