コンテニュー

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 *  数年が経ち、私は二十歳になった。  イコも少女から美しい女性へと成長していた。殿下がご覧になれば、今度こそ間違いなく彼女を召されるだろうと思えるほどに。  イコは変わらず待ち続けていた。彼女の両親もそろそろ別の相手を探した方が良いと言っているらしいが、イコは頑として聞かないということであった。 「殿下に謁見を申し込んでみてはどうですか」  私はイコに提案したが、そんなはしたないことはできない、きっと事情がおありなのだろうと却下されてしまった。  私としては、イコの心が揺らいでくれば結婚を申し込むつもりでいた。両親は私の気持ちを知ってか知らずか地元の娘との縁談を持ちかけてきたが、イコ以外の女性のことなど考えられなかったので断り続けた。それこそ、イコが殿下を想い続けるのと同じように。  そんな日々を繰り返しているうちに、時間は無情にも過ぎていったのだった。
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