第5章 最初に覚えた名前

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≪ 次の日 ≫ 「れお兄、いってきます。」世那は、元気に学校へ向かった。 昨日のことがとてもうれしかったようだ。 ≪ 小学校 国語 ≫ 「次、7ページを開いて下さい。」 [水,水,水,水,水,月,月,月,月,月,天,天,天,天,天,] (あれ?この字………) 世那は慌てて家に帰った。その日は蓮音の方が早く帰っていた。 「ただいま、れお兄れお兄」 「おかえり、どうした」 急に名前を呼ばれ、驚く蓮音。 「てん兄の名前ってあまのがわのあまですか?」 「ああ、そうだが…」 「ありがとうございます。」「?」 よくわからない質問に少し戸惑う蓮音だったが、気にせず夕飯を作り始めた。 世那はいそいで部屋に戻り、メモ帳に何か書き始めた。 ≪ 新本家 午後8時 ≫ 天と宙が帰ってきた。ちらっと天が玄関脇のボードの方を見ると、 【天兄、いちごのショートケーキがいいです。おねがいします。  世那】 と、書いてあった。 それを見た天は、大きく目を見開き,世那のもとへ向かった。 「世那!俺の漢字書けるようになったのか!」 「はい!天兄、苦しいです。」 天は、大喜びで世那を抱き上げた。 「よし、今度めっちゃうまい苺のショートケーキ買ってやる!」 「な、なんであんな奴だけ……」 世那が天の名前だけ書けることにショックを受けた宙。 「はっ!ざまあみろ」 「うるさい!ちょっと世那君。早くそいつから離れて。菌が移る。」 「ふざけんな!てめえ」 いつものように二人の喧嘩が始まった。 「いい加減にして下さい。」そう言って蓮音は二人から世那を取り上げた。
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