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柵と堀を目の前に正勝は馬に乗って走って行く。
「みんな!生きて帰りたけりゃ俺につづけよ!」
大声で叫び、正勝は騎馬で敵陣の柵を飛び越えて、三村の兵を手にする槍で突き殺す。
この瞬間、正勝がこの撤退戦の一番槍をあげたことになる。
それを見てジジイが正勝に続く・・・が、ジジイには正勝ほどの馬術は無いため、槍で柵をぶっ壊す。そして、後ろを振り返って雑兵達に言う。
「貴様らぁぁ!!若とワシに続けぇ!!三村の糞共にワシらの力を見せつけぃぃ!!!」
戦場に響き渡るその声で正勝の部隊の士気は高揚し、最高潮になる。そして、その勢いで一気に第一陣の柵を破壊する。
「爺、自慢の怪力はまだ健在の様だな。」
周りは乱戦中だが、正勝は余裕の表情でジジイを労いに来る。
「若、ありがとうございます。この怪力豪腕で戦場を駆けて来ましたから。この怪力こそがワシの生きてきた証ですから。」
そういう、ジジイを笑顔で労いながら正勝はたまに飛んでくる弓矢を避ける。
「ところで爺、浦上の軍がへったくそな援護攻撃をしてきているから俺が今から潰しに行く。その間、ここの指揮を頼むぞ!なんなら、先に敵陣を突破して、この戦場から離脱しても構わない。」
「それではあの小娘の策とは違うのでは?命令違反ですぞ?」
「確かにな。しかし、柔軟に頭を動かして立ち回らないと撤退は出来ないんだ。この事は優ちゃんにも伝令を出す。」
しかし、不安そうな顔をするジジイ。
「そんな不安な顔すんなって!何とかならぁ!」
爽やかに笑う正勝だが、ジジイは相変わらず不安そうな顔だ。
「そうでは無いです!ワシがいなくて浦上を追い払えるのか、もし若に何かあったらワシは・・・」
「バカ言うな、戦意が低く仕方なく援護攻撃する程度の敵にやられるわけ無いだろ?まあ、見てなって。」
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