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陣に入り、しばらくすると堂々とした風格の若い男と美人な姫武将が入ってきた。
これを見て小次郎は察した。
「(恐らく男の方は歳からして尼子勝久だろう。だがこの鎧を着た可愛い美人な姫武将は誰だ…?)」
そして、小次郎を捕らえた男、立原久綱が言う。
「勝久様、鹿之助。このガキは毛利の兵と戦っていたところを見つけて、ワシがここまで連れてきた。着ている服や纏っている雰囲気からして明らかに怪しいじゃろう。」
若い男は言う。
「ふむ。南蛮や明とは違う着物だな。」
そして、美人な姫武将も小次郎の顔を見て言う。
「勝久様、叔父上。この男は怪しいです。ですが、毛利に襲われていたのなら話は別です。私たちの仲間になるかも知れませぬ。しばらく私たちと同行させましょう。」
立原は頷き言う。
「鹿之助ならそう言うと思っていた。」
そして立原は小次郎の顔を見て言う。
「ガキよ。この女が我ら尼子再興軍の首謀者である山中鹿之助幸盛じゃ。」
小次郎は鹿之助の顔をみる。
鹿之助はどこから見ても女だ。それも滅茶苦茶綺麗で可愛い女の子だ。
確か山中鹿之助は男だったはず。
だが、どうやら本当は女だったみたいだ。
それに山中鹿之助は背が高く、武勇の高い山陰の麒麟児と言われた猛将である。
だが見た目からして猛将には見えない。
背はこの時代の女の子としては高いだろう。
小次郎は疑問に思って質問してみる。
「し、鹿之助さんって男じゃないのですか?」
鹿之助は軽く笑いながら言う。
「あぁ、やっぱり鹿之助って名前なのに女ってところのが気になるんだろう?山中家の家督を兄上から譲って貰った時に叔父上に無理矢理名乗らされたのだ。正直、私も鹿之助って名前は嫌だが。」
鹿之助は軽く笑い飛ばす。
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