意地悪して、ごめんな

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 和也の頬が上気し、下半身のものが勃ち上がりかけた頃。唐突に直哉は、唇を離した。 「あっ……」  和也は物足りないのか、寂しそうな声を上げた。それに満足し、直哉はニッコリと微笑む。しかしなんの言葉もなく、その頭を一つなでた。  直哉は振り返ると、あるものを持って和也に振り返る。その両手に持っていたのは、拘束具だった。  手錠のような無機質なものではなく、内側にファーのついた、ベルトで締めるタイプのものだ。全体的に黒く、金具だけが冷たい色を放っている。 「な、直哉さん……」 「怖いか?」  これで怖いといえば、もう続ける気はなかった。しかし和也は恍惚とした表情で、否定の言葉を放つ。 「怖くないです。むしろ……」  その続きは言えなかったらしい。それでも感謝の意で、額にキスを落とした。  なるべく辛くならないように、椅子の足と和也の腕を拘束具で繋ぐ。少し離れるためにベットに座って眺めてみると、下腹部が下着を押し上げているのがよくわかった。 「かずや、意外とこういうの好きか?」 「よく、わかりません」  顔を赤らめ、グッタリとしている様はのぼせているようにも見えた。頭の中はもう真っ白になりかけていて、考え事などできないのだろう。  何をされるのか分からないドキドキ感。それだけが和也の頭を支配している。 「いいか、今から俺は和也に触らない」 「えっ……」 「和也も、俺にさわれない」  ある一つの予感が、和也の頭に思い浮かんだ。それは前にも経験したことのある、デジャヴとでともいう予感。  直哉が最初に聞かせたあの嬌声を、まだ和也は覚えている。 「今からここで俺がエッチなことすんのを、そこで黙ってみてろな」
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