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「やっぱり、焦らしが一番理想に近いかなとは思います」
それで一本書けと言われれば、難しい気もしないでもないのだが。
「焦らしだったら、言葉責めとかもいけますかね」
「でも、語彙力に自信ないです」
「それはまぁ、そういう辞典とか売ってるしいですから。うちの出版物にあったっけ?」
「僕の方でも、ちょっと探してみます」
「わかりましたぁ。それではまた連絡しますんで、その時にでも」
失礼しますと二人は言い合い、どちらからともなく電話を切る。和也はそのまま電源を切らず、検索エンジンを立ち上げた。検索ワードにSMと入れてみる。
まず最初に出てきたのは、ウィキペディアだった。しかしそんなことが知りたいわけではない。和也はどんどん下へとスクロールしていく。しかしなぜか商品の紹介など、全然関係ないものまで出てきてしまっていた。
唯一参考になったとすれば、SMクラブの広告だった。それには本格的なプレイが書かれているので、どんな事をしているのか知ることができる。
それからもう一つ気になったのは、それは個人ブログの内容だった。それはソフトSMと検索した結果出たものなのだが、SMの心のありようが書かれていた。
SMは言ってしまえば、信頼のある主従関係である。SはMのされたいことしかできない。それはある意味、お互いを知り尽くしているという信頼感のもとに成立しているもの。
少し前の和也であったら悩むところだろうが、もう腹をくくっている。なんせ直哉の元カレに「絶対に幸せにする」とまで言ってのけたのだ。
「直哉さんのされたいことって、なんだろう……」
今までの行為の中で、何が一番喜んだだろうか。朧気な記憶を引っ張り出し、羞恥心に戦いながらも和也は思い出していた。
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