第3章 視線

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縞爺(しまじい)は6畳一間の用務員室にいた。 扉を開けると 上がり(かまち)になっていて、 そこに畳が敷かれ丸いちゃぶ台が置いてあった。 その斜め向いに古びた14型のテレビが置いてあり、ニュースなのかバラエティなのか よく分からない番組が流れていた。 縞爺は 縞田でも縞橋でもなく、 いつも縞々のポロシャツを着ているから、 縞爺と呼ばれていた。 ちゃぶ台に頬杖をつきながら、 テレビを見ていた縞爺は 私が部屋に入ると 一瞬顔を上げ、 なんじゃお前か…と言わんばかりの様子だった。 「縞爺、今ちょっとえぇか?」 「あーなんやぁ」と 急須でお茶を入れ渡してくれた。 「ありがと…、あんな縞爺、ここの病院ってなんか居たりする?ていうか、なんかあるん?」 「なんや、急に…そりゃ色々あるやろ。 もう建って何十年も経ってんねんで。 当たり前や」 「え…そうなんや。」 「せやなぁ、まぁ特にお盆間近やから 幽霊事情も様々やな」 あっけらかんとそう言われてしまった。
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