第3章 視線

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縞爺(しまじい)…最近、うちねっとりした視線を感じるねん。」 そしてこないだ小さな女の子に待合室で会ったこと そしてその夜怖い夢をみたことを話した。 「それは、アレや。 欲しがりな幽霊やな。」 「欲しがり…?」 「まぁ言い方荒いけど、暖かいもん欲しいゆうてんのやろ。それはちゃんと応えたらなあかんで。 ここの病院はな、戦後に病院という形をとるようになったけど、それまでは治療室やら霊安室やら兼ね備えた場所やったんや。」 「そうなん…?」 「せや、空襲で京都も多くの場所が焼けたんや」 「え、京都て重要文化財あるし空襲なかったんちゃうん」 「いや、それはちゃうで。戦争のとき、5回は空襲があったんや。初めは1月16日 噂によるとめっちゃ寒い日やったらしい。 その日空襲で焼けてしもて、多くの人が火傷やら怪我をして火だるまになった家を命からがら逃げてきたんや、 この場所で当時の看護師さんは一所懸命手当したらしいけど、 それでも怪我人は絶えず中には怪我と寒さで 意識をなくしてしまう人もいたらしい。
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