第3章 視線

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「寒い…熱い…寒い…熱い。 熱を持って焼けるような身体と、外の気温の寒さでせっかく逃げてきた人もドンドン体調悪なってしもた。 そんな中、おかあさんお母さん呼んで助けを求める子がおったらしい。 こうやって三つ編みのおさげを結った、名前は貞子…」 「ヒッ…」 「貞子は嘘や。けど、松子いうて、 まだ年の功は6歳か7歳くらいやったらしい。」 「うち!その子におうたで!病院の待合室で…!」 「あの子は死んでしもとる。でも自分が死んだことを分からんままでおるんや。 やからお母さんをずっと、ずーっと待ってるんよ」 「…」 「決して悪い子ちゃうから、邪険にしたらあかんよ。幽霊には毅然とした態度で、でも優しゅうしてやらないかん。視線はあんたが試されてる証拠やからな、怯えたりしたらついてくんで」 そこで昼の終わりを告げるチャイムが鳴り、 私たちは別れた。
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