第4章 美佳子の場合

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なんか最近めっちゃ視線を感じる。 監視されてるみたいな…、私の行動窺われてるみたいな… 私の名前は羽矢美佳子(はやべみかこ) 新米看護師の卵。 この春、看護学校卒業してここに就職した。 性格は臆病。 というより、急に驚かされると めっちゃビックリする。 幽霊とか妖怪とか、 そんなんまがい物や思うてるけど、 怖い話し聞くとそれほんまなんって 思うてしまう。 私、大阪からの就職やから、 一人暮らしするために初任給高い この病院に推薦枠で入ってきたけど… でもなんかここの病院は出る。 ほんま嫌やぁ。 「み・か・こちゃーん」 「ヒャアァッ」 思わず飛び上がってしまう。 「…いや、驚き過ぎやからぁ」 笑いを堪えたようなその声に振り向くと 4つ上の 紗和(さわ)先輩がいた。 紗和先輩は、とっても美人さんやけど 自称ドSというだけあって、 私の反応を見て喜んでる節があると思う。 そうこないだだって… 「ごめんごめんっ、あんまり美佳子ちゃんの 反応がええからさぁ」 「もぅ〜先輩、ホンマ心臓止まるかと思いました!!先輩って家でも旦那さんにそんな感じなんですか!!」 先輩は、今年同じ病院系列の老健…老人保健施設に勤めてる看護師さんと結婚した。 「いんやー、旦那はいつも穏やかやし冷静やからな。驚かせがいはないねんなー」 なぜか口を尖らせる先輩… 可愛いんだか、なんなんだか… 「そぉいや!もうすぐ美佳子ちんは、夜勤デビューするんよな!!瀬尾ちんが言ってたでぇ」 瀬尾ちんとは、瀬尾 彩香(せおあやか)。 私の同僚であり、同期である。 入職して4ヶ月以上経とうとしてる今、 夜勤デビューが目の前に迫っていた。 「…先輩、正直夜勤ってどうですか」 恐る恐る聞いてみる。 話しではくらーい廊下を2時間起きに、 懐中電灯を照らしながら回らないといけないと聞いている。
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