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カブトムシ
「来たぞ!」
「まだ、待て!もう少し引き付けてからだ。」
陣笠に具足をつけ、槍や弓を手にした兵たちのがなり立てる声が森のはずれで響いていた。
木々の途切れたところで軍勢が陣形を作っている。皆一様に森から向かってくる気配に神経をとがらせていた。
彼らはとある生物の襲撃に備えていた。その生物は森の中に入るため、その姿は見えない。しかし、森から聞こえて来るもの音からするにキツネやイノシシどころか、クマよりも大きい生物であろう。何が来るのか知らない前列の足軽たちは恐怖心に耐えながら弓を構えていた。
その間にも生物のドスドスと響く足音とバキバキと枝の折れる音が近づいてくる。
そして、ついにその生物の頭が、森の切れ目から現れた。
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