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「うおっ。」
大声を上げながら、横へ着地する。先ほど男が足を置いていたところが盛り上がり、カブトムシの角の先が見えていた。まだ動くだけの気力がカブトムシに残っていたようだ。
「まだ生きていやがる。」
鍬を持った男が顔をしかめる。
「もっと、土をかけるべきだろう。おい、お前たち。」
大将は二人を手伝ってやろうと思い、畑の外にいる兵たちを振り返る。様子を見ようと遠巻きに何人か兵たちが集まっていた。
「鋤や鍬を持って来い。」
大将がそう言うと兵たちが首をひねるのが見えた。
「いいから、何人か土を掘れるもの持って来い。」
大将がそう怒鳴ると様子を見ていた兵たちは慌てて走り出す。兵から鍬を受け取った大将は馬から降りて穴を塞ぐのを手伝い始めた。それを見て部下の兵たちも穴埋め作業に加わって、さほど時間もかからずに穴はふさがれた。
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