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「よし。これで、もう出てこれないだろう。」
鋤の男がふさいだ地面をとんとんと踏み固めながら言った。
それを聞いて、手伝っていた兵たちはほっと胸をなでおろす。
「さて、お前たちこの度はよくやった。名は何という。」
大将も一安心すると二人に尋ねた。
「おれ・・・、あ、私は傳次郎です。」
先にカブトムシに駆け寄り、鋤を持った男がそう答えた。
「こっちは遼太郎。」
傳次郎は隣の鍬を持った男を指す。指された男はぺこりと頭を下げた。
「お前たち、上手いことあのカブトムシを始末したな」
大将は感心していった。
「いえ、自分たちの村の危機だったものですから、必死になっただけです。」
傳次郎が頬を掻きながら答え、遼太郎はその横で頷く。
「この穴を掘る作戦は自分たちで考えたのか。」
大将は問う。
「まあ、二人で考えたんだよな。」
傳次郎は遼太郎の顔を見ながら答えた。
「あなた方が戦っているのを見て、大抵の武器ではかないませんでしたので、そもそもの動きを止めることを考えました。始めは水に沈めてしまうことを考えたのですが、川も用水池も離れていたので、埋めてしまうことにしました。」
遼太郎がスラスラと答える。
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