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この国に巨大な虫たちが蔓延り始めたのは五年ほど前からだったろうか。それまでは虫など手のひらよりも小さなものばかりだった。しかし、城の近くに牛より大きなカマキリが現れて以来、たびたびこの国には巨大な虫が現れるようになっていた。
大抵は一匹だけ唐突に現れるに過ぎないが、その巨体ゆえに一匹でも現れれば、田畑はあっという間に食い荒らされ、民家も次々に壊されてしまう。そればかりか中には家畜や小さな女子どもを食ってしまうものもいた。それゆえに大将も領地内に虫が現れた時は兵を挙げて退治してきた。しかし、たかだか虫一匹であっても始末するのは容易ではなく、追い払うにとどまることも多い上、運よく退治できたところでまた新たな虫が現れる。
その度に兵を出すと、多かれ少なかれ毎回損害が出てしまう。それに大将たちは虫退治だけをしていればよいわけではない。人間同士の戦もある。ひとたび戦が起これば、虫退治に軍を出している余裕などはない。
そこで何か良い虫対策が出来ぬかと考えていたところで現れたのがこの二人だ。たった二人であの働きである。この二人を使わない手はない。
「だから、虫退治専門の部隊を作りたいのだ。虫が現れたら、退治するだけでなく、こちらから積極的に虫を探して始末できる部隊を。」
大将は長々とした説明を終え二人の顔を見た。傳次郎も遼太郎も戸惑ったような顔をする。
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