1人が本棚に入れています
本棚に追加
栗の外皮のようにつるりとして硬そうな殻。色は光の当たり具合によって、黒にも茶褐色にも見える。卵のように楕円形で大きな胴体、その下から生える六本の細い肢はかぎ状になってとげがある。そして一番の特徴は頭に生えた先が二股に分かれた一本角である。
「なんと、巨大なカブトムシだ・・・。」
その姿を見て大将はつぶやいた。
普通のカブトムシと比べると、その大きさはけた違いだ。そこら辺にいるカブトムシの何十倍どころか何百倍はあろうか。牛よりも大きいぐらいだ。ぶつかられたらひとたまりもないし、もし、上に乗られたら押しつぶされてしまうに違いない。
想像しただけでも恐ろしいが、実際に退治している兵たちはそんな想像をしている暇もない。駆けながら鉄砲組が先陣に出てくる。態勢が整うのを待って大将が叫ぶ。
「撃て!」
号令とともに発砲音が鳴り、辺りに火薬の煙が立ち込める。何十挺という鉄砲の煙で前が見えなくなる中、一同はその煙の先に目を凝らす。
次第に煙が薄くなり先が見えるようになってくる。
最初のコメントを投稿しよう!