カブトムシ

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 栗の外皮のようにつるりとして硬そうな殻。色は光の当たり具合によって、黒にも茶褐色にも見える。卵のように楕円形で大きな胴体、その下から生える六本の細い肢はかぎ状になってとげがある。そして一番の特徴は頭に生えた先が二股に分かれた一本角である。 「なんと、巨大なカブトムシだ・・・。」  その姿を見て大将はつぶやいた。  普通のカブトムシと比べると、その大きさはけた違いだ。そこら辺にいるカブトムシの何十倍どころか何百倍はあろうか。牛よりも大きいぐらいだ。ぶつかられたらひとたまりもないし、もし、上に乗られたら押しつぶされてしまうに違いない。  想像しただけでも恐ろしいが、実際に退治している兵たちはそんな想像をしている暇もない。駆けながら鉄砲組が先陣に出てくる。態勢が整うのを待って大将が叫ぶ。 「撃て!」  号令とともに発砲音が鳴り、辺りに火薬の煙が立ち込める。何十挺という鉄砲の煙で前が見えなくなる中、一同はその煙の先に目を凝らす。  次第に煙が薄くなり先が見えるようになってくる。
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