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大将は何事が起ったのかわからなかった。そのため、そばによって確認しようと思って、馬をそちらに走らせようとした。だが、馬は動こうとしない。
大将はいらいらして鞭打って走らせようとしたが、男のそばにもう一人別の男が来るのが見えたので手を止めた。
近付いてきた男の手には鍬があった。板を持った男のそばに来ると男の目の前を覗き込む。すると急に鍬で後ろの土をかき集め始めた。すると板を持っていた男も板を地面に置くと先ほど置いた踏み鋤を持って土をカブトムシが消えた空間にかけ始める。
大将は一体二人が何をしているのかわからない。そこで馬をなだめつつ鞭打った。するとようやくのろのろながら、馬は男たちの方へと足を動かす。
大将の周りに逃げてきていた兵たちの間を抜け、畑へと向かう。瓜畑を抜け土だけになっている畑へと馬で踏み入れる。ここまで来ると男二人の顔もよく見えるようになった。むきだしになった腕や足は良く日に焼けて赤銅色になっているが、顔を見ると二人ともまだ若いようだ。
黙々と土を掛ける二人を大将は近づきながら観察する。
踏み鋤を持った方は汗をかいたのか、頭の先からびしょぬれになっていた。二人とも泥まみれだが、特に後から来た鍬を持つ男の方は爪の先まで真黒くなっていた。
大将は二人のすぐそばまで行こうとするが、二人まであと五尺といったところで馬の足がピタリと止まった。大将は馬の腹を蹴って進ませようとしたが、地面の様子を見て慌てて手綱を曳いた。
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