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夏と秋、めぐちゃんはとし兄ちゃんの家に暮らしていました。
最初はお母さんが全然迎えに来なくて、ずっと泣いていました。
保育園の日みたいに、夕方に来てくれると思ったのに来なかったからです。次の日になっても、その次の日になってもお母さんは来ませんでした。
めぐちゃんは悲しくて仕方なかったのです。ミルクをこぼした時なんかよりもずっと。せっかく上手にできた泥団子が、手から落ちて割れてしまった時なんかよりも、ずっと胸が痛かったのです。
でも、とし兄ちゃんは毎日一緒にいてくれました。
「俺はずっと一緒だからね。めぐちゃんはひとりぼっちじゃないんだよ。お母さんが迎えに来た時、泣いていたらお母さんも悲しむよ」
きっと迎えに来てくれるからねと、とし兄ちゃんが言うのでめぐちゃんは歯を食いしばって泣くのをやめました。口の中が痛くなりました。とし兄ちゃんが慌ててめぐちゃんの口にふわふわのタオルを当ててくれました。
それからとし兄ちゃんと一緒に麦茶を飲みました。お母さんと飲んでいる麦茶よりも苦かったので、ぎゅっと口をすぼめていたら、氷を入れてくれました。
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