王道な異世界にトリップ。

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「さっきの話なんだけどさー!イイぜ!俺教えてやるよ!」 俺どころかイケメンをも待たず食事を始めていた転校生は肉の塊を頬張りながら自信満々に言い放った。これにはさすがのイケメンも顔をしかめたけれど、何も言わずに椅子に座った。 それから転校生はよくそんなぽんぽんと話題がでてくるなーと言うくらい話続けた。なかなか言葉にならず無口なワンコと思われてしまっている自分からしたら羨ましい話である。目指せ脱ワンコ!帰ったら絶対そのキャラ設定を変えて見せる!なんてよくわからないけど美味しい肉の塊や、向こうでは見ないような色の野菜が入ったスープを食べながら意気込んだところで大切なことに気が付いた。 「…向こうの世界には帰れるのか…?」 俺のつぶやきに気付いた転校生は「え?帰りたいの?」とさも意外だと言いたいような表情を見せた。 「帰れる。とは言い切れない。帰った者もいる。けれど、その方法はわかっていない。」 優雅にワインらしきものを飲んでいるイケメンは「俺にもそれ飲ませろよ!」と騒ぐ転校生を無視し、おそらく嘘はついていないのであろう真面目な顔をしてそう言った。 「何度か行き来した者もいたらしい。だが、こちらからは呼ぶことは出来ても還すことは出来ていない。しかし、向こうの者には出来るらしい。詳しい事がわからなくてすまない。」 うるさい転校生にデザートを与えることで黙らせたイケメンは「だが、出来る限りの協力はする。そして、こちらでの生活の面倒は見る。」と約束してくれた。 しかし、このイケメン転校生の扱いになれるの早すぎだな。そして、無視されてもしゃべり続けるコイツの思考はどうなっているのか不思議だ。きっと俺には考えられないような思考回路なのだろう。一回色々聞いてみたいと思うけど、それこそ何日あっても足りなさそうなのでやめておこう。
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