王道な会長が迎えに来た。

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転校生は毎日楽しそうに外へ出かけていき、子供やたまに大人と色々なスポーツをしているらしかった。今は運動会をやると毎日準備に大忙しらしい。 それを見ていると、学校生活では見えなかった頑張る彼を頼もしく思ったり羨ましく思ったり少し複雑だった。きっと、帰る方法が見つかったとしても彼は帰らないだろう。 なんの未練もない転校生を見ていると少し寂しく思う自分がいたりしてあんなに、うるさくてどうにかならないかなんて思っていたのに世界が変わるだけでこんなにも変わるものなのかと疑問すら感じた。 俺は、元から自分から何かをし始めるというのが苦手という事もあり、午前中は過去の記録を整理し午後は王の仕事を手伝いながらもっとスムーズに進む方法を考え提案した。些細な事しか出来ない俺に王も他の人も感謝の言葉をくれたけどまったく役に立っているという実感はなかった。 俺は何で何も出来ないんだろう。何で俺がこの世界に来てしまったのだろう。転校生だけで良かったのではないか?または他の誰かの方が良かったのではないか…あの場にいた会長の方が絶対役にたったはずだ…でも、その場合向こうに残されるのは俺になったのか。それでも、副会長だって会計だっているんだから今ほど心細くないはずだ…きっと…。 でも、それでもやっぱり会長に会いたいなぁ…と思った。きっとこれは依存だ。副会長や書記、親衛隊隊長や姉にだって会いたいと思う。けど、それとはもっと違うところで会長に会いたいと思うのだ…。 姉に毒されたか?と思わくもないけど、ここは男らしく認めようじゃないか。なんてぐるぐる考えながらも何か帰れるヒントがないか探し続ける。 気持ちを自覚してしまえば、簡単な事でここでの生活に目標も出来た。 けど、それは俺を焦らせるだけで一歩も前には進ませてくれなかったのだった。
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