王道な会長が迎えに来た。

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俺が泣き止み、落ち着くと王はいつの間にかいなかった。 「泣きすぎだ。」 会長はそう不満そうに言いながらも、柔らかいいい匂いのするハンカチで俺の顔を丁寧に拭いた。それにしても、距離が近すぎる…と気持ちに気付いた俺は会長から離れようとするもののそれは許可されず、べったりとくっついた状況に心臓がうるさく騒いでいた。 「会長はどうやってここに?」 「帰ったら教えてやる。」 会長の答えに帰れるのだと知り、安心してまた涙が溢れてきた。泣きすぎだと笑う会長の肩に顔を隠すようによせれば優しく頭を撫でてくれた。 これだ…会長の手だ、匂いだ。と思えばまた涙が溢れてくる。そんな俺に会長は呆れも怒りもせずただ頭を、背中を飽きずに撫で続けてくれた。 しばらくすると扉をノックされ、王の声が聞こえた。 「もう、落ち着いただろうか?食事をしながら話をしよう。」 それに「今行きます。」と返事をすると隣を歩く会長を何度も見ながら、そして何度か触れながらいつも食事をしている部屋へと向かった。 会長はそんな俺に文句を言わず、ただ好きなようにさせてくれたのでとても嬉しかったので最終的には手を握ってスキップをするように歩いた。 転校生もいるのだと思っていた部屋には王しかおらず、すでに食事の準備も出来ていた。 俺と会長の席が隣り合って準備されており、思わずにやける俺に王は「そんな顔もできるのだな…。」と呟いた。 それを聞いた会長は「知らなかっただろう。」と満足そうに頷いたので俺は首を傾げた。
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