王道な学園での恋愛事情。

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食事を終え、部屋に戻った俺は少しだけ部屋の掃除をした。ここで生活したのは一週間ほどだろうか。全く馴染むことがなかった部屋を見回した。 ソファに座り優雅にお茶を飲む会長を見ればこっちに来いと手招きされたので近づけば腕を強くひかれた結果、会長の上に乗りあげてしまった。 そのまま腰を下ろせば、会長は満足げに笑みを浮かべた。 「お前は…残りたいとは思わないのか?」 質問の意味が分からず首を傾げた俺の頬に触れた手はとても温かかった。 「調べたら何人かあの学園から消えた者がいたことがわかった。そして、戻ってきた者もいる事がわかった。」 頷く俺を確認するように会長も頷くと話を続けた。 「戻ってきた者の数は圧倒的に少なく、戻ってこなかった者の数の方が多い。そして、戻ってこなかった者は何かしら問題を抱え…俺が思うにあの世界に未練がないように感じた。それが一つのカギだった。」 会長の話を聞いてなるほど。と思った。転校生はきっとあの世界に未練がないのだろう。だったら俺は…? 「戻ってきた者の共通点は…一緒に消えた者がいる。という事。つまり…。」 「巻き込まれた?」 会長は「その通り。」と頷き俺の頭を撫でた。俺は「何だよそれぇ…。」と力が抜け会長にべったりと寄り掛かった。転校生に巻き込まれ異世界に来てしまった俺…なんて間抜けで不幸なんだ…。 「さ、明日は早い。さっさと寝ろ。」 会長は俺を抱えたまま立ち上がるとそのままベッドへと運んだ。相変わらずの力業に「あぁ会長だ。」とさらに実感できそのまま抱き着きぐっすりと眠った。
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