ゴミ捨て場の豪華なソファ

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「痛っ!」  が、今回はそうしなかった。嫁が小さく悲鳴をあげた。右手は嫁の頭をなでることも、涙をぬぐうこともしなかった。代わりに額にめがけてチョップしていた。 「そんなことあるわけないだろ。今でもお前が一番好きだよ」  和幸は照れくささを覚えながらもはっきり言った。そこの勘違いだけは、看過することが出来なかった。 「嘘よ。信じられない」 「コンビニのワインで女が釣れるわけないだろう? いいからリビングに行こう」  和幸は嫁を座椅子に座らせた。隣に座りしばらく話をしている内に何とか嫁の誤解を解くことが出来た。お腹に手を当てると、しゃくり上げる嫁の震えが伝わってきた。嗚咽ももうじき収まるだろう。 「あなた、変わったわね」 「本当? 少しはお父さんっぽくなれたかな」 「ううん。昔の、優しくて頼りになる頃のあなたになった」  和幸は「そうか」と応えた。  お腹の中で赤ちゃんの動くのが分かった。
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