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母親の電話で嫁が産気づいたと知ったのは次の日の昼下がりだった。和幸は急いで職場を飛び出し病院へ向かった。
出産の立ち会い。隣で嫁を励ましたのが功を奏したのかしないのか、ほどなくしてつるっと子供が現れた。あまりの安産ぶりに医者も驚きを見せていた。
3600グラムの元気な男の子。新しい家族の誕生に、親族含めて喜び合った。
和幸は必要となるものを取りに一旦家に帰ることにした。病院の外はもう暗かった。
コンビニに寄った。買ったのは缶ビール一本。もちろんあのソファで飲むためだ。この時間なら人通りは多いだろう。だが構いやしない。今日ほどふさわしい日は有りえない。無事に生まれたことを伝えたら妄想の中でソファは何と言うだろう。いつの間にか駆け足になっていた。
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