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お兄ちゃんの仕事は、絵本作家だ。
彼女だと思っていたさっきの女性は装丁家の人で、お兄ちゃんは私の為にこんな素敵な本を用意してくれていて、そもそもこの仕事をするきっかけが私との思い出だったなんて……
次々と、信じられないほど嬉しい話を聞かされて、頭の中が完全にショートしてる。
「まさか、麻里のほうから来てくれるとは思わなかった。驚きすぎて『いいよ』ってしか返せなかったし、そんな時に『本ができたよ』って連絡が来て、本が来るの待ってたから食べ物とか全然買いに行けなかったし……」
「ダメな自分に凹んでたら、麻里はそんな格好して来るし。それを見て大人げなく嫉妬するし……」
陽太兄ちゃんは耳まで真っ赤にして、恥ずかしそうに、それでもちゃんと正直な気持ちを全部言葉にして伝えてくれた。
……やっぱり、陽太兄ちゃんの言葉は魔法みたいだ。
だってさっきまで沈んでいた心が、嬉しい!って叫んでるみたいにふわふわと弾んでいるんだから。
この気持ちは、間違いなく恋だと思う。
……サンタの服を着てただけで、何で嫉妬するのかは分かんないけどね。
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