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「いやぁ……足を引っ張ってばっかりでごめんね」
それに比べて……不甲斐ない自分に落ち込んでしまう。
「全然だよ!受け渡しのケーキの順番整理してくれたりとか、待ってるお客様にも声掛けてもらったりして、ほんと気が利くし助かったよ。ありがとう!」
「それにさ、麻里だけその格好でよく頑張ったよね」
美咲の優しさに沈んだ心がちょっとだけ浮いた所で、カバンの中のスマホが鳴った。
「彼氏ー?」
意味ありげにニヤニヤと笑う美咲を横目に、スマホをタップする。
「頬、ゆるんでるって。もうさ、そのままの格好で行っちゃったらいいじゃん。彼氏喜ぶかもよ。あっ、レストランとかで待ち合わせだったらイタイから止めなよ」
アハハ……と笑って誤魔化しながら、メッセージを確認した。
約束なんてしてなかったし、お洒落なレストランで豪華なディナーなんて、最初から期待していない。
だって、そもそもそんなに気が利く人じゃない。
そもそも付き合ってないし、昨日のイブには誰か他の女と……彼女と一緒だったのかも分かんない。
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