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「変わったって、何?」
心までも固くしている様で自然とグラスを持っている手にも力が入る。
その姿に中途半端な事を言うまいと佐倉も決意したのか、はっきりと告げた。
「気を悪くしないで欲しいんだけど、俺、【見える】んだ」
「・・・やっぱり?」
佐倉の目には祐介が、澱んだねっとりとした暗い空気を纏っている様に見えていた。
余計な世話かとも思ったが、時折講義で言葉を交わしたり、学食等を共にする仲の祐介を彼は放っておけなかった。
「最初は、さ。気のせいかと思ったんだ」
歯切れ悪く最近あった事を振り返る様に呟く。
「出した覚えのない靴が出てるとか。朝はバタバタしてるし、勘違いかなって。でも、毎日決まって一足だけ出てるんだよ」
「他に実害は?」
「今んとこない。あ、・・・でも最近靴が毎日出てるなら出てこなくしてしまえと思って、靴を全部出して寝るようにしたらコップが机の上に置かれる様になった」
周囲の喧騒が嘘の様に遠く聞こえる。
強がっていた祐介も笑みを潜め、丸まった背中を更に丸くして俯いた。
到底常識的ではない自らの言葉に自信がないらしい。
「此処には、もう一人いるよって言ってるみたいだな」
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