【第一章徒歩15分のアパート】第3話

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「電気が点いてるのに独特の仄暗さがあるから、多分確定。今見えないのは俺とは接点が薄いからと見た」 彼なりにあれこれと考えたであろう結果が受け入れ難く苦く笑う。 「住んでる俺の出方次第って事ね」 「どっちに転ぶか分からないから、活発化する様なら引っ越しも考えた方が良い」 「マジか。苦学生には辛いなぁ・・・」 考えを纏めるやり取りを一通りし、お互いにシャワーを浴び就寝の準備を整える。 祐介はシャワーを何時もより短く済ませ、早々にベッドに横になり携帯のチェックを。 一方、佐倉は濡れた髪の毛を片手で乾かしながらアルコール除菌スプレーを取り出し部屋中に振り撒いた。 あまりに多く振り撒く為、部屋が汚いのかと不安を覚え問うと、「霊避け」という予想外の返答に困惑する。 「一説によると霊は湿度や菌と密接に考えられてる。除菌はネットで見た事があるだけだけど、アルコールが入ってて揮発性があるから理には敵ってる。此れで何も無くなるなら御の字」 「へぇー、流石。手近な物で対処の方法もあるんだね」 「俺の研究はこっちの方面にも掛かってるからな。唯、この方法は気休め程度だから、あまり期待するなよ」 それでもいい。最近、身の回りで起きている気味の悪い現象に強がってはいたが、正直なところ神経を使っていたのだ。 自分よりも知識を持っている佐倉を頼もしく思い安心したのか、珍しくぼんやりする時間もなく意識が途切れた。
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