【第一章徒歩15分のアパート】第5話

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【第一章徒歩15分のアパート】第5話

そこから先は早かった。まだ早い時間にも関わらず着の身着のままで財布のみを身に付け、モーニングタイムの近所の喫茶店に移動した。 初夏の朝は、まだ少し肌寒く、寝間着代わりのTシャツから出ている腕を摩る。 珈琲が運ばれる迄、二人は暫し無言の時を過ごした。 祐介は砂糖もミルクも入れず、運ばれたばかりの温かい珈琲を一口飲み、ホッと息を吐く。 「死ぬかと思った・・・。何度も確認するけど本当に後ろには何も居なかったんだよね?」 「驚いた事にな」 何度目のやり取りだと、肩をすくめて佐倉が答える。 「でもミスったな、やっぱり断るべきだった」 頬杖を突き、まだ眠気の残る眼差しで彼は祐介を眺めると呟いた。
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