5223人が本棚に入れています
本棚に追加
/3000ページ
「三つ目。熱は、屋敷に常駐してる魔法医者が診てくれたわ。肺炎じゃないけど、雨に打たれ過ぎたのとストレスで高熱が出たみたい。それで、三日も目を覚まさなかったの」
「……ストレス、ですか」
ため込んでるつもりではなかったけど、あの時は昨日の今日で脱退を宣告されたから、無理に取り繕おうとはしていた。
それと、落ちた直後に蘇った記憶達。
今もまだ少し混乱はしてるが、意識の中では大変だったのだろう。むしろ、熱だけで済んで良かった。
「荷物は調べさせていただいたけれど、冒険者だったのね? それなら、ストレスもあって無理ないわ。旅をしてるのなら、命がけだもの」
「い、いえ!」
違う。
私は、チャロナは、ちゃんとした『冒険者』じゃなかった。
「私は……よ、弱過ぎる、冒険者でした!」
「……チャロナちゃん?」
褒められるような事など、何もしていない。
あのパーティーに加入したばかりの頃は、採取関連の依頼中心をこなすのが日常だった。
パーティーのメンバーにもそれでいいと言われたけれど、初心者ではなくなってからは討伐や護衛依頼が増えて来て、その時は大抵その街のギルドでお留守番。
よくて、最近までしてたような炊事などの雑用係。
家政婦かと間違われてた時期もあった。
本当に、試験で認められた錬金術がうまく使えず、知識を詰め込んだだけのお荷物。
そんなストレスを、私は初対面のメイミーさんに、全部伝えてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!