1-1.目が覚めたのは、お屋敷

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「…………すみません、お世話になってる方の前で弱音を吐いて」  献身的に看病してくださった人の前で情けない事だ。  けれど、言ってしまったものはもう取り戻せない。  ひとまず謝って、もう一度手当とかの御礼を言おうと顔を上げたが、自分じゃない長い指がほっぺに向かってきた。 「弱音など、誰でもある。今生きてるのだから、次に活かせばいい」  温かい手が、ほっぺを優しく撫でてくれた。  それと、とっても渋くて綺麗な男性の声に前を向いてみれば……これまた、引き締まった体型の美男子がいたのだ! 「あら、旦那様。いつこちらに?」 「だ、旦那……様?」  と言うことは、この美男子がお屋敷の旦那様? (無茶苦茶若くて美形って、乙女ゲー??)  遊んだ事はないが、前世のSNSなどの広告リンクで貼られてた神絵師様のイラストにも負けないくらい。  そんな人が、どうやら私の命の恩人のようです。
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