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あのまま誰にも見つからずに気を失っていれば、メイミーさんが教えてくれたように風邪をこじらせて肺炎になり、最悪命を落としてただろうから。
傷が痛まない速度で首を折ると、今度は大きな手が頭を軽く叩いてくれた。
「礼など良い。俺は、ただ怪我人を見過ごせないだけだ」
「お世話好きなのも、でしょう? それにお連れになった時の御顔はいつもと」
「……メイミー」
「はいはい。年長者としての発言はこの程度に。ところで、旦那様? 手ぶらの割には、扉からいい匂いがしますわよ?」
「いい、匂い?」
メイミーさんが言うまで気づかなかったが、かすかにスープのような匂いがしてきた。
それも、三日以上も何も食べてないお腹に叩きつけるほどの美味しい食事の匂い達。
「……三日も起きずにいたんだ。いい加減、体が参るだろうと思ってな」
「お運びしますね?」
メイミーさんはなんて事のないように返事をしたが、屋敷の主人自ら客?に料理を持ってくるのだろうか?
恐れ多いと同時に、この旦那様の性格がいまいち把握しにくいと思っていたが、体は空腹に忠実だった。
メイミーさんが押してきたワゴンの上には、美味しそうなクリームスープとパン。
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