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『美味じゃ!』
「ありがとうございます」
すると、チャロナは用意していたコロ牛の乳を入れたグラスを差し出してきた。
『?』
「あんぱんには、牛乳がよく合うんです」
『ほーう?』
まだアンコ部分には到達していないが、チャロナがそう言うのなら美味に違いない。
もう一口食べると、予想以上にアンコとパンの相性がよく、甘さと香ばしさが絶妙に合っていて、いつまでも食べていたくなるような味わいだった。
この後に、コロ牛の乳を少しだけ口に含むと。
『な、なんじゃこれは! 美味過ぎるぞ!』
合うとは聞いていたけれど、ここまでとは!
良質な乳で、例えるなら紅茶とコーヒーが食材に合う程度に思っていたのだが。
これは、また別物じゃ。
口の中で、アンコがどんどん引き立っていく。
アンドーナツを口にして、また乳を口に含んでが止められない。
やめられない!
これは、最高の組み合わせじゃ!
『チャロナ。主の知識は、まさしく宝じゃ!』
「そ、そうですね。私の前世の知識は、たしかに宝のようなものかもしれません」
*%●△様による導きはあれど。
ここまで物に出来る童はそういない。
それだけ、前の世で恵まれていた生活をしてただろうが。
そこから離れた今を、この者は憂いているだろうか?
少なくとも、雇い主である童を想うておる辺り、充実しているように思えるが。
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