0.優しい追放

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「……っと、うっわ! 真っ黒い雨雲!」  ひたすら森を歩いていたら、嫌な事に雨雲と遭遇。  しかも、スコールがすぐそこまでってくらい最悪の色をしていた。  山中程天気が変わるものは、これまでの冒険者業で培っていたが、油断し過ぎた。  とにかく、急いで雨宿り出来そうな場所を探すのに走ったが……もう遅い。  走った途端に降り始め、一瞬でびしょ濡れになってしまう。 「最悪!」  足を止めずに走り続け、洞窟か大木のウロを探すもただでさえスコールなために視界が良好であるわけがない。  走っても走っても影になるような場所も見えず、靴もどろや水が入ってきて二重の意味で最悪。  いっそ脱いでしまおうかと思った時。  私は、足を踏み出しただけなのに体が宙に浮いた。 「じゃな……落ちてっ??」  それがわかった時には、メンバーのレイアのように浮遊魔法が使えたらと思った。  だけど、私は魔力も底辺の錬金術師だったからそんな芸当出来るはずがない。 (ああ、ほんとお荷物だったな……)  このまま死ぬかと思うと、今までの出来事を振り返るよりも先に、それがすぐ思い浮かんだ。
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