1-1.目が覚めたのは、お屋敷

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1-1.目が覚めたのは、お屋敷

 *・*・*  涙を流し続け、そのまま疲れて寝てしまってたようだけれど。  次に意識がはっきりした時、私はスコールの中で倒れていたはずなのに、何故か室内にいた。 (…………生きて、る……?)  目が覚めてすぐに見えたのは、綺麗な天井板。  しかも、どこかの宿屋じゃなくてお屋敷のようなところ。  その根拠は、誰かに着替えさせられたらしいネグリジェのような服とか。ゆっくり起き上がった時に気づいた柔らか過ぎる羽毛布団も。  目に入ったすべてのインテリアならぬ調度品が、華美ではあっても品の良い品々ばかり。  まず間違いなく、資産家か貴族の屋敷に連れて来られたのだ。多分、お情けで。 「……ど、どこだろ?」  あのパーティーの誰かが見つけたにしたって、こんな高級宿以上の部屋で看病してくれたとは思えない。  一番裕福な家庭だったらしいリーダーでも、ちょっとした商家のお坊っちゃんくらいと聞いていた。
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