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「サメザワくんと話したいことがあるの。放課後、屋上に来て」  この日おれは、生まれて初めて女の子に呼び出された。相手はクールな美少女として名高いコグチさんだった。そんな人がどうしておれを? もしかして告白? そんなまさか! だいたいおれ、コグチさんとは話したことすらほとんどないし。そうやって否定しても、おれの脳みそは勝手に何か期待してドキドキしていた。  もしかしたら、もしかするかも……?  なんていうおれの期待は、早々に裏切られた。 「殺してほしい人がいるの」  約束の屋上で、コグチさんが言った。 「はい?」 「聞こえなかったの? こ・ろ・し・て・ほ・し・い・ひ・と・が・い・る・の!」 「ちょっと待った。いったい何の話しだ。っていうかなんでおれにそんなことを頼む?」 「だってあなた、殺し屋なんでしょう?」 「そんな話しをどこで!?」 「どこって、学校中の噂になっているわよ。サメザワ家は代々殺し屋の家系で、依頼があれば誰でも殺すって」 「おれに友達ができないのはその噂のせいか! そしておれの一家は殺し屋なんかじゃない! 話しに尾ひれがつきまくっているぞ!」 「違うの?」 「ああ。たしかにおれは中学のころ殺し屋と呼ばれていた。でもそれはただのあだ名だ。対戦ゲームが強すぎて周りの連中を瞬殺していたらそう呼ばれるようになっていう、ただそれだけの話しだ」 「というのが世を忍ぶ仮の姿なわけね?」 「どうしてそうなる」 「だってあなた、どう見ても人を殺していそうな顔をしているじゃない」 「認めてやるよ。おれが殺し屋と呼ばれるようになったのは、この強面のせいでもあるってな!」 「みんなあなたの後ろに立たないように注意しているのよ? おれの後ろに立つなって、いきなり殴られるかもしれないって」 「あそこまでゴツくないと思うのだが!」 「こんなに殺気を放っている高校生はなかなかお目にかかれるものじゃないわ」 「女子高生にバレる殺し屋ってなんだよ! あのなあ、ほんとうにおれが殺し屋だったら殺気を放ってちゃまずいだろ?」 「!?」
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