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「あれはあの子がウチに遊びに来たときのことよ。わたしたちはわたしの部屋で談笑をしていたわ。サメザワくんって絶対に人殺してそうよねーとか、そんな他愛のない話しをね」 「その情報、いる?」 「しばらくしてわたしはお花を摘みに席を立った。そしたらアマリさんが『冷蔵庫にある飲み物もらっていい?』って聞いてきたのよ。だからわたしは『いいわよ。ついでにお菓子も何か適当に持って来てちょうだい』って答えたわ。わたしたちは一緒に部屋を出た。わたしは草原へお花を摘みに、アマリさんはキッチンへ飲み物とお菓子を摘みにってね。わたしが用事を済ませて部屋に戻るとアマリさんは先に戻っていた。アマリさんは『おかえり』と無邪気に言ったわ。わたしも『ただいま』と素直に言おうとした。そう、アマリさんが食べているものを見るまではね。何を食べていたと思う、サメザワくん」 「さ、さあ?」 「彼女、冷蔵庫にたったひとつ残しておいた、わたしのプリンを食べていたのよ!」 「は?」 「信じられる? わたしにとってプリンは人生の楽しみとも言うべき食べ物なのよ? プリンのために生きプリンのために死ぬ覚悟をわたしは持っているわ。それなのにあの子ったら、わたしの目の前でプリンを奪っていったのよ。おいしそうに唇なんかつけちゃって。あの光景を思い出すだけではらわたが煮えくり返ってくるわ!」 「ちょっと待て! 人のものを勝手に食べるなんてたしかにひどいと思うよ。だけど殺したいほどなのか? それだけで親友を殺しちゃっていいのか?」 「親友だからこそよ。あの子はわたしにとってプリンがどれほど大切な存在か知っていたのよ。だってちゃんと話したんだもの。わたし、プリンのためならなんでもできるってね。あの子はそれを知っていながらわたしのプリンを奪ったのよ。だから許せないの。だから腹が立つの。わかった? わかったならさっさとあの子を殺してちょうだい!」
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