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 それから数週間がすぎた。 「サメザワくんと話したいことがあるの。放課後、屋上に来て」  おれは再びコグチさんに呼び出された。今度の呼び出し理由は想像がつく。おれは別の意味でドキドキしながら約束の屋上へと向かった。 「いつになったらアマリさんを殺してくれるの?」  不機嫌そうにコグチさんが言った。  やっぱりその話しか! 「いつまで待たせる気なのよ。女の子を待たせちゃいけないって教わらなかったのかしら?」  こうなったらしかたがない。  おれはこの日のために用意した言い訳を披露することにした。もしかしたら説得できるかもしれない、という期待込みでの言い訳だ。 「じつはいま殺している最中なんだ」  おれは何食わぬ顔でサラッと言った。
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